観葉植物・ハイドロコラム

2022.08.31

虫の呼吸と撃退法

メンテナンス

植物の管理方法

安心安全と書かれている農薬にはある特徴があり、虫の呼吸を知ることでその仕組みが分かってきます。

突然の出現

「あ、やられた」
ベランダのプランターに春に蒔いたミニ大根の種が芽を出してからおよそ2週間が経ちました。本葉が数枚出てきて、根元にはやや白い大根が見え始めてきた頃、葉の付け根に見慣れない、緑や褐色のごまの粒のような物体を発見しました。よく目を凝らしてみると、野菜につく虫の代表格、アブラムシです。
大根の葉も、よく見ると新しい葉が委縮したようになっていました。アブラムシが葉の液汁を吸うため、葉は真空パックの様にしわが入り、小さくしぼんだように委縮してしまうのです。

早速私は、ホームセンターに行き、野菜用の殺虫剤を買いに行きました。
売場にはいろいろな殺虫剤がありますが、一際目につくのは大きなボトルスプレーで、パッケージには大きく野菜に使える、収穫まで何度でも使える、安全安心、と書かれたものがあり、それを購入することにしました。

家に戻り、購入したスプレーをすると、翌日にはアブラムシが白くなって死んでいました。
カラカラに乾燥したような状態で、一部は葉についたまま、一部は茶色い土の上に落ちていました。実にパッケージ通り良く効いたと思いました。が、今度は殺虫剤の方が気になりはじめました。
安心安全と書いてあるが、この効き目には本当に人体に無害なのでしょうか。
パッケージの裏を見てみると、主成分には、ヤシ油とデンプンと書いてありました。
さて、ではヤシ油とデンプンでどうして虫が退治できるのでしょうか。

それには、虫の呼吸が関係しています。虫つまり昆虫では、人とは呼吸方法が異なります。
人は口や鼻から空気を肺に送り込み、酸素を吸収します。肺から吸収された酸素は、血液中の赤いヘモグロビンと結合し、血管を通って各細胞へ酸素を送り届けます。
一方昆虫には、肺が無く、血管や血液という酸素の運搬手段を持ちません。人や動物の様なヘモグロビンは殆ど無く、その為赤い血が流れていないのです。その代わりに昆虫は、主におなか周りにある「気門」という器官から直接空気を取り込み、体液を通して呼吸しています。動物と比べるとかなり直接的・原始的な器官になっています。


カブトムシの幼虫

呼吸の違い

ニューヨーク市にお住まいのデザイナーで、地図と科学のインフォグラフィックを作成しているデザイナーのエレノア・ルッツ(Eleanor Lutz)さんが、わかり易くてとても面白いアニメーションを作成しています。
体内に取り込んだ空気がどのようにして体内に入り、酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を排出しているかが良くわかると思います。
エレノア・ルッツ

野菜でも観葉植物でも同じ

つまり、虫を窒息させるという事は、口ではなく、気門をふさぐという事になります。
その為、粘性があるものや皮膜を作る液体が適当であるという事になります。その為、油やデンプンというもの効果がとても高いのです。気門は昆虫に複数ある為、包み込むようにたっぷり吹きかけることが重要になります。
市販のものでなくても、牛乳などを薄めてもそれに近い効果が得られますが、牛乳自体が腐敗しやすい為、その後にしっかりと水で洗い流す必要があります。

これらの方法は、特に小さい昆虫には人体にも安全で効果の高い方法だと思います。
今回はベランダ菜園で起きたお話でしたが、室内の観葉植物においても同様です。
室内でアブラムシが発生することは稀ですが、観葉植物につく虫の多くは、とても小さく目を凝らさないと見逃してしまうような大きさです。
例えば、観葉植物につく代表的な虫としては、カイガラムシという虫が挙げられます。
この虫は、ぱっと見では、綿状のほこりのようにしか見えないので、存在を知らなければ見落としてしまうかもしれません。
いずれにせよ、早めに見つけて早めに処置してあげること、その為には毎日観察してあげることがとても大切になります。

さて,我が家のアブラムシがいなくなったベランダの大根ですが、残念ながらその後の生長はままならず、あまり収穫ができませんでした。おかしいなと思って土を掘り返してみると、



元気なのが1匹でてきました。。。